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今 思うこと
ずいぶんと長い間ブログから離れておりました。失礼いたしました。
そしていきなりの雪の写真。
この前の投稿から長い長い時間が経ってしまったことが、季節の写真でわかります。
コロナ禍に始めたブログです。
苦しいけれど頑張らなくては…という気持ちの見え隠れを、読み手に感じさせてしまっていたかもしれませんね。
文章にする前に、こんなことを書いても…という気持ちが起こり、書くのをやめてしまうということの繰り返しでした。
「先生、書いてくださいよ」と生徒からも合唱団のメンバーからも言われ、「今度書くから待っててね」と答えながら、心のタンクに想いが溜まらない状態でした。
ところが、昨年4月に少しの希望を書いたあと、しばらくして私の生活が劇的に変化してしまい、書きたいのに書く時間がない!というこれまでになかった事態となりました。
緊急事態宣言が解除され少し文化的な生活ができるようになってくると、人前で演奏したいという合唱団や、中止が続いていたイベントが開催されるようになり、伴奏やイベント参加の依頼が増えました。
最初のうちは、忙しい生活に急に戻るのが心配で、依頼されてもお断りしたこともありました。継続的な演奏活動からはしばらく離れていたわけですから、頭も体もついていかなくて迷惑をかけると悪いと考えたからです。
それに、期待して準備をしていたのにまた中止…という、何度も経験したがっかりする気持ちはもう味わいたくないという本音もありました。
リハビリしながら慣らしていく計画で、焦らないことに決めていました。
感染も心配でしたし、「一歩一歩着実に」のつもりで進めていたのですが、合唱関係の仕事仲間の急な長期入院という事態が起こり、その人の仕事をまとめて引き受けてしまったことから一変してしまいました。
引き受けることになったのは伴奏ではなく、本番での指揮。曲も私が日頃取り組んでいるものとは少し違います。当然準備に時間が必要です。すでに約束していた分に加えてです。
それでも引き受けたのは、自分がもしも急に病気になったら日頃から親しくしている仲間に頼ることになるでしょうし、なんと言ってもその合唱団の団員の方々が本番を間近に控えてとても困っていらしたからです。
という訳で、5月の終わり頃からは、まるでジェットコースターに乗ったみたいなスピード感と、本当に全部の約束が果たせるのか?という少々スリリングな気持ちを秘めた生活を送ることとなってしまったのです。
と、こういう風に書くと、まるで私が仕事の殺到する売れっ子みたいに聞こえますが、そうではありません。
忙しくなる原因は私の中にあります。
ピアノ教室をしながら演奏活動をされている先生はたくさんいらっしゃいますし、その方達はもっとたくさんの本番をこなしていらしゃいます。
その先生方と私との決定的な違いは、まず読譜能力の差です。
小さい頃に楽譜を読む訓練をちゃんとしておくと、譜読みはスムーズにこなせるようになります。私は小さい時にそういう練習をしませんでしたし、それが必要だと感じる環境におりませんでした。
不器用な私は、譜読みに人より時間がかかります。なので、一度にまとまって新曲を受け取ってしまうと、仕上げるのに時間がかかってしまうのです。
例えて言えば、私は楽譜を素早く読むアプリを持っていないという言い方ができるかもしれません
すごい才能を持っている人は別ですが、このアプリは (たぶん)若い間にしか得ることができません。取り損なった私は、いつも別のソフトを使って毎回最初から立ち上げている…そんな感じです。
楽譜を読むことに時間がかかると、新しい曲に挑戦するのが億劫になりがちです。ですから、大人になってからピアノを始めた人は、なかなか進まない譜読みに耐えられなくなってやめてしまうことが多いらしいです。
ピアノは単旋律を弾くわけではなく、多くの場合、常に両手で違うパターンの複数の音を鳴らさなければなりません。特に現代の曲にはシャープやフラットなどの臨時記号が多いので、最初が大変です。
ピアノ初心者の方にとっては、弾きたい曲があっても譜読みに時間がかかり過ぎて、結局は楽しくないことになってしまうのです。私にはその気持ちがよくわかります。
ですから、私のレッスンでは譜読みが苦手な方には宿題という形で新曲を渡さず、私と一緒に譜読みをすることにしています。譜読みにもコツがあるので、アプリが無い私が編み出した譜読みの技 (!)をフルに活用し、最初の難所でつまずくことのないように工夫しています。
そして子供たちには、アプリ取得のために新曲視唱やリズム読みの時間を取って、初見の力を身に付けられるようにしています。将来私のように苦労することがないように。
常に頭の隅にあった私の弱点。今回あらためて強く感じることとなりました。
コロナ禍では、それまでには思ってもみなかったことがたくさん起こりました。
見えないウイルスから身を守ることや、行動が制限されることはみなさんが経験しましたね。
人間関係でたくさん悩んだ…と知り合いが打ち明けてくれました。
私は、この期間、どちらかと言えば人の優しさに気づかされることが多く、自分がどんなに恵まれているかを知ることができました。
しかし、気づかなかった他人のホンネを知ってしまったこともあります。
異常な状況が続いて隠しきれなくなったのかもしれませんが、そういう方とは今後のお付き合いの仕方に注意しようとも思いました。
そしてこれまで考えもしなかったことの一つに、ワクチン接種の予約をLINEで申し込む仕組みになったことがあります。
この決定が報道された時、すでに高齢となられた方々にLINEが使えるのかしら? と、心配に思いました。
新しいことを取り入れるのが得意な人と、「必要ないから自分には関係ない」と、あえて取り入れないと決めて生活をしている人。
自分には関係ないと考えていた人たちが、いきなり世の中の流れに乗ることとなりました。
私が指導している (正しくは、一緒に歌を歌って楽しんでいる) お母さんコーラスでは、後期高齢者の方も多いのですが、気がつけばスマートフォンはいつの間にかほとんどの方がお持ちで、最近はコーラスのグループラインで楽しいおしゃべりができるくらいになりました。
これはコロナ禍前には予想していませんでした。使い方のわからないところをお友達に聞いて、みなさん一生懸命に覚えました。
人それぞれに自分の信念というものがおありでしょう。
しかし世の中がどんどん変化していく時に、思い込みや頑なな心を強く持ち過ぎると取り残されてしまうかもしれないと感じました。それは時には孤独につながってしまうのではないかしら?
この『ワクチン予約をLINEで…』の一件は、「高齢の人のコーラスは、みんなが楽しいと思える時間を作ることが大事。誰にも無理のないような曲を歌うことを一番に」と考えていた私にとっては意外と大きな事件でした。
高齢化社会の中、楽しく生きていくためには守っているばかりではダメなのかもしれない!
長く歌い続けていくためにも、新しいことに挑戦することも大切なのだということに気づきました。
そしてその気付きは、私自身の音楽との向き合い方にも新しい風を吹き込んでくれました。
少し遅れてピアノの世界に入った私は、今さらこんな事は身に付くわけがないだろう…などと諦めている事も実は多かったのですが、そんな一見当たり前のような考え方を変えてみては?と思うようになりました。
コロナ禍がきっかけで見始めたYouTube。そこで発信しているピアニストで、ご自分で教室を開いていらっしゃる方が、もう一度先生について自分自身がレッスンを受け始めたとおっしゃっていました。
次元は違いますが、再挑戦する気持ちに共感しました。
大人になってからでもアプリは手に入るかもしれない…。
この思いに至るきっかけを作ってくれた世の中の流れや、私を急に多忙な生活に引っ張り込んでくださった方々に感謝します (笑)。
新たに経験して気付き考えた事、工夫した事、うまくいかなかった事…。予想外に急に忙しくなってしまった期間は、音楽を通したキャッチボールで頭の中がフル回転していました。充実していました。
楽しかった事や出会った人のお話、どこでどんな曲を演奏をしたのかなど、「ブログに書きたいなぁ」と思ったのに、要領の悪い仕事のこなし方で時期を逃してしまいました。何かの折にまたご報告できたらいいな、と思っています。
成り行きでしばらくご一緒させていただいた合唱団からは、感謝の言葉と共に大きな観葉植物まで頂いてしまいました。
この合唱団とは本番を3回する予定だったのですが、感染拡大のためにイベントが一つなくなってしまい、突然練習が中断し、結局完結せずに終わってしまいました。残念です。
その後、あの時練習した曲を披露する機会はあったのかしら…。
辛いコロナ禍でした (まだ終わったわけではありませんが…)。
この期間に感じ考えた多くのことが、今、重心を低くしてしっかり構え、少しのことでは倒れない私を作ってくれた気がします。
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